午睡

うつらうつら
こんな状態でいるくらいなら眠ったほうがマシです。おきているほうが様々な人に申し訳がないのです。
彼が私に近づいてきます。彼の躯はいつも不思議とひんやりとしていて気持ちがいいのでした。結局今日も私は彼の上で眠ってしまうのでしょうか。これは悪い習慣です。そんなことを考えながら私はそのまま

しばらく眠ったらすこし頭が冴えてきました。しかしなにかをするほどの気力はありません。私は彼の脚に自分の脚をすりよせたりからめたりしてあそびました。彼と私の動きにあわせて軋むような音がきこえます。彼の躯はすこし温かくなっていました。
私は夕方には彼と別れ帰路につきます。

今日も私は彼と一日を過ごします。今日は天気がいいので窓を開けてみましょう。心地良い風が部屋に入ります。高い陽はより良いルームメイクをしてくれています。最初こんなふうにすごすことに恥じらいや戸惑いを感じていた私も重なるたびに身をまかせることに慣れていきました。窓の開閉など取るに足らないことです。
今日は昨日より少しだけ彼と長い時間をともにすることができるのでした。少し疲れた私はそのまま目を閉じました。
それでも私は夜になる前には帰路につきます。

今日は彼に会わない日です。そんな日私は決して彼のことを考えたりはしません。彼は時々どこかにいっていたりはしますがすぐに私のもとに戻ってきてくれるのです。だから会わない日に彼のことをわざわざ考える必要などありません。

今日はアルバイトです。行ってきます。

二日ぶりに彼に会います。やはり彼はいつものように私を受け入れました。アルバイトの疲れが残っていた私は朝から彼の上で眠りました。私が朝から眠ってしまうのは珍しいことでしたが彼は表情ひとつ変えませんでした。彼は寡黙です。
起きた私は彼との重なりの余韻をすこしだけ味わったあと少しだけ彼と距離をおいて残りの一日を過ごしました。距離をおくと言っても手をのばせばとどく距離です。普段は午後彼の上で眠ってしまう私には少しだけ世界は新鮮でした。

しかし翌日の午後には私はまた彼にべったりとくっつき眠ってしまうのでした。昨日感じた新鮮さなど今日になればたいしたことではなくなってしまうのです。
そして今日もあと少しの時間私は彼とすごすのです。いつもより少し早く目が覚めた私は彼から離れないまま時計を見ます。

授業の終わりをつげるチャイムの音がきこえました。